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キラーストレスに負けないために。メンタルヘルスにはコーピングと運動が効果的【社長ブログ#04】


著者/滝本訓夫
BREEZE株式会社 代表取締役社長

 

数年前にテレビで放映されたNHKスペシャル「キラーストレス」がいまだに強く印象に残っています。日頃からストレスに囲まれた生活を送り、メンタルヘルスの維持が簡単ではない現代社会。今回の記事では、この番組で取り上げられていたメンタルのバランスが崩れるメカニズム、そしてその対処法をご紹介します。

 

外敵に対処するための「本能」が、現代では人間が相手でも起動する

例えば突然、目の前に肉食獣のような外敵が現れると、人の脳内にある扁桃体が恐怖反応を引き起こし、人は命の危険を感じます。同時に扁桃体から延髄を通じて自律神経に危険信号が伝えられると、血管を締め上げて血圧を上昇させます。この働きによって、人の身体は外敵に反応し、心拍数を上げ、筋肉に血液を送り、闘争や逃走といった行動を可能にします。

 

この仕組みは、遙か昔に人が狩猟民族だった頃、外敵から身を守るため身体を素早く動かしたり、怪我をしてもすぐ血が止まるようにしたりするといった、命を守るために備わった本能です。この本能が人のDNAに刻まれたことにより、狩猟をせずとも生活できるようになった現代社会でも、ストレスを感じると同様の反応が起きてしまう、ということだそうです。

 

最悪の場合、精神的なストレスが重なった結果、脳出血を起こした人もいるそうです。また、ストレスが複数重なることによって自律神経が心臓の血管まで締め上げてしまい、心不全を引き起こすきっかけになる、ということも判明しています。このようにストレスが複数重なると、命をも奪うような「キラーストレス」になる、ということです。

 

脳や身体に悪影響を及ぼすストレスホルモン、コルチゾール

ストレスホルモンとして注目されているバイオマーカーは、ストレスとの関連で研究されている副腎皮質ホルモン「コルチゾール」です。アメリカ合衆国のアリゾナ州立大学では、実験でマウスにストレスを与え続けることで脳の海馬が破壊されることを突き止めました。脳にあふれた「コルチゾール」が原因となり、記憶や感情をコントロールしている海馬の神経細胞にダメージを与えていたのです。

 

2018年10月25日、CNNから以下の報道がありました。

 ストレスの高い生活を送っている人は、50歳になる前に物忘れがひどくなったり脳が委縮したりする可能性がある――。そんな研究結果が24日の神経学の学術誌『Neurology(ニューロロジー)』で発表された。

 

発表を行った米テキサス大学の研究者は、「比較的若い人でも、症状が表れるずっと前に物忘れや脳の萎縮が起きていることが分かった」「早いうちから意識してストレスの軽減に努める必要がある」と指摘している。研究チームは、ストレスを受けた時に分泌が増えるストレスホルモンの「コルチゾール」に着目した。コルチゾールは身体のさまざまな機能を低下させる作用があるが、ストレスが解消されればコルチゾールの分泌量が減って身体機能も正常に戻る。だがストレスの高い状態が続くと、身体機能も低下した状態が続き、不安やうつ、心疾患、頭痛、体重減少、睡眠障害、記憶力や認知力の低下に結びつく。

 

特に脳はすべての栄養素が適切に機能する必要があり、影響を受けやすいという。ストレスに対応するために身体でそうした栄養素が必要になると、脳に行き渡る栄養素が減少する。

(出典:Stress might lead to memory loss and brain shrinkage, study says」2018.10.25, CNN

このように、ストレスの高い状態が身体や脳に悪影響を及ぼすメカニズムは解明されています。

ストレス対策にはコーピング、そして運動が効果あり

それではストレスを緩和するために、私たちはどうすればよいのでしょうか?ストレスを和らげるために有効といわれるコーピングの代表的な手法は、まずどのような気晴らしや対処法が、ストレスに対して効果的かをリストアップすること。ここでのポイントは「100項目を目標にしてとにかく沢山あげること」だそうです。

 

筆者は以下のようなことを連想しました。
・美味しい珈琲を飲む
・畳の上でお抹茶を一服
・お客様にお抹茶を点てる
・好きな音楽を聴く
・緑豊かな小径を歩く
・裸足で土の上を歩く
・友人とのゴルフ・ラウンド
・ネコをなでる
・犬と散歩する
・ダーツで勝負する
etc……

 

このようにリストアップした気晴らしや対処法を実践する、あるいはイメージするだけでもストレスが緩和されるかどうか、自分自身で実証するとよいそうです。「ストレスを意識したとき、ある行動を行うことによってストレスは解消される」という一連の流れを脳に刷り込むことができます。

 

また、運動には自律神経の興奮を抑えることができる、ということが分かっています。身体を動かし、よく運動することでストレス反応の暴走を食い止めることができるようです。番組では、軽く息のはずむような運動もストレスを緩和する効果があると紹介されていました。単なる気分の問題ではなく、運動することで延髄の神経細胞にある突起の数が減少し、ストレスのもとになる信号を伝えにくくなるのです。延髄が扁桃体からの情報を自律神経に伝えすぎないために効果を発揮するのが運動というわけです。

 

ストレスまみれの現代社会。キラーストレスに負けないために、自分の生活習慣に組み込めるようなストレスへの対処法や気晴らし、そして運動を続けていきたいものです。

 


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