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中小企業こそ議論すべきテレワークの必要性と導入に必要なこと


著者/福田さやか

BREEZE株式会社 HRコンサルタント

大介護時代を迎える今、企業がとるべき施策とは

団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になることで、その子供世代が介護のためにキャリアを諦めざるを得ない「介護離職者」の増加が懸念されています。その介護離職者は、年間10万以上に上るといわれ、すでに育児や配偶者の転勤などでやむなく退職を選んでいる方も数多くいます。人々の価値観が多様化する中、働く人の様々なニーズに対応することは企業にとっての大きな課題であるといえるでしょう。その課題を解決するための施策のひとつが「テレワークの導入」です。

 

テレワークとは、「ITを活用した場所と時間にとらわれない柔軟な働き方」を意味します。固定された「就業場所」と「勤務時間」に縛られるこれまでの働き方に対し、テレワークはITを活用することによって、働く人が場所と時間を柔軟に選ぶことができる働き方です。

<テレワークの形態>

①在宅勤務

…労働者の自宅で勤務を行う勤務形態

②サテライトオフィス勤務

…労働者の属するメインのオフィス以外に設けられたオフィスを利用する勤務形態

③モバイル勤務

…ノートパソコンや携帯電話等を活用して臨機応変に選択した場所で業務を行う勤務形態

 

大企業だけが対象?いいえ中小企業にこそ必要な制度です

「働き方改革」や「テレワーク」、「在宅勤務」なんて中小企業には関係のない話だ、と思っていませんか?中小企業は基本的に従業員が少なく、そのため育児や介護などで1人抜けた場合、その穴がとても大きいものです。また、代わりとなる余剰人員もいないため、残った他の従業員にしわ寄せがいき、業務の負担が増えることになります。そうすると他の従業員はキャパオーバーの状態で働くことになり、生産性も下がり、モチベーションも低下します。そして結果的に心身が疲弊してしまうのです。

 

身体を壊した従業員が退職してしまった場合、新たな従業員を雇おうにも、簡単には採用できません。運よく採用できたとしても、既存従業員にはフォローの余裕もないため、なかなか定着しません。サービスの質の低下、業績悪化、人員削減……。そんな負のスパイラルが懸念されます。

 

人材流出を防ぐため、そして優秀な人材を採用するために

優秀な人材を採用することはもちろんとても大切ですが、それだけでなく「優秀な人材を辞めさせない」ことにも目を向ける必要があります。離職を防ぐには、会社の魅力度向上、そして労働環境の構築は欠かせません。そのために、いざというとき一定期間在宅勤務ができる仕組みが会社にあれば、従業員は安心して働き続けることが出来るのではないでしょうか。もちろん、この仕組みは新たに採用される従業員にとっても、とても魅力的に感じられるでしょう。

 

総務省「平成27年通信利用動向調査」によると、テレワークを「導入している」と回答した企業は全体のわずか16.2%にとどまっています。つまり、他に先んじてこの制度を導入することで、上位2割弱の魅力的な制度を持った会社になれると言えるでしょう。育児や介護、配偶者の転勤で、突然退職の申し出があったら、あなたはどのように対応しますか?あなたの会社では、家族の介護を担う立場の従業員はどれくらいいらっしゃいますか?そのために今、何ができますか?

双方の遠慮・配慮をなくすこと。在宅勤務者のホンネ

私の場合、夫の転勤で関東から地方に移住することになりました。弊社の仲間になって半年もしないうちに急遽決まってしまったことでした。まだ創業間もない会社なのに……。「会社に迷惑をかけてしまうのではないか」「一度退職という形で区切りをつけて、新たな仕事を見つけた方がよいのではないか」など、思いあぐねていました。そんなとき、社長をはじめ、一緒に働く仲間から「これからも一緒に働きたい」「あなたの経験が顧客支援のモデルケースになる」と言ってもらえたときは、とてもホッとしたのを覚えています。

 

そして今、周囲の方からの支援を受けながら、在宅勤務を始めて半年が過ぎました。Skypeを利用したTV会議を毎日行い、業務進捗の共有・報告、顧客との打ち合わせに参加するとともに、2~3ヵ月に1度のペースで東京に出張し、対面でのコミュニケーションも可能な限り行っています。実際体験してみると、導入前に感じていた不安の多くが「IT」と「自己管理」によって解消されるものであると気づきました。

 

とはいえ、どうしても在宅ではできない種類の仕事も多々あり、申し訳なさや後ろめたさを感じているのも本音です。「皆さんに負担をかけている私がこんなことを言うのはどうなのかな……」と思ってしまい、発言を遠慮してしまうこともあります。上司たちも同様に「これをお願いすると助かるけど、負担をかけてしまうのではないかな」と遠慮しているようにも感じられます。

 

テレワーク導入には、この双方の“必要以上の遠慮・配慮”をなくしていくことが重要だと考えています。この遠慮と配慮という壁を取り払うことで、働き手も自身の存在意義を見出し、モチベーション高く、業務に貢献できるのではないでしょうか。私も、ふと感じてしまう「迷惑をかけている私が言うのも……」という遠慮を少しずつ取り払いながら、日々工夫を凝らし業務にあたっています。

 

私の実体験が、これからテレワーク導入を検討される皆様の役に立つのであれば、という思いからこのブログを執筆していきます。次回の担当記事では、在宅勤務で活用しているツールや、私たちが実践している工夫についてご紹介します。

 


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