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コラム連載開始!【HRMエキスパートの視点】第1回 人事制度を活かせるか?制度設計時に陥りがちな罠(前編)


 

CHROFYは、この度、人事・経営に役立つ情報を定期的にお届けするために、「人的資本」や「人的資本経営」に関する専門家たちのご協力のもと、コラム連載を開始します。

 

まずは、”実務協業型”の人事制度導入・業務構築支援をされており、当社の製品開発にもご協力いただいている、株式会社Trigger 代表取締役 安松 拓也氏による、【HRMエキスパートの視点】をスタートします。事業会社の人事部門における実務視点と、HRMコンサルタントの視点の両面の視点をお持ちの安松氏から、「人的資本」や「人的資本経営」に関する業界の動向や見解などについて語っていただきます。

 

第一回は、「人事評価の透明性や従業員の納得感をいかに高めるか?」をテーマに、解決策や意識するポイントなどを解説していただきます。

 

安松 拓也(やすまつ たくや) 株式会社Trigger 代表取締役

医療機器販売会社・ソーシャルメディア/ゲーム会社・大手精密機器メーカーにて人事の実務およびマネジメントに従事。各社いずれも経営変革の潮目に在籍し、事業戦略の実現を目的とした人事制度改革や人材育成施策の企画・立案・実行を主導してきた。多くのマネージャーや従業員に向き合ってきた経験から、企画のみならず導入設計・運用支援を重視している。現在は独立して活動中。

事業会社の人事部門における実務視点と、HRMコンサルタントの視点の両面から、CHROFYの製品開発の協力を行っている。

 

 

人事制度の“完全性”をどこまで追求すべきか?

 

人事評価の透明性や従業員の納得感をいかに高めるか?おそらく非常に多くの、もしかしたらすべての会社・組織が、何らかの悩みや問題意識を持っている領域でしょう。

人事制度構築や組織力強化のご支援をしていると、この領域のご相談はとても多く、そして課題や解決へのアプローチも各社各様で、経営者や人事担当者の腐心がうかがわれます。

例えば多くの企業様から、「職種ごとの詳細/精緻な職務内容や能力評価基準を作ったが、異なる職種間でのレベルが合っているのかがわからない。どう合わせたら良いかがわからない。」というご相談を受けることがあります。

この問題は果たして解決できるのか?そして、人事制度の“完全性”はどこまで追求できるのでしょうか?

 

“完全性”を追求したA社の悩みと、その後の発想転換

A社からのご相談の事例を紹介します。

A社では、3つの主要事業において約20種類の職種があり、その職種ごとに職務内容と習得すべき能力のレベルを書き分けた「ジョブ・スキルマップ」を作り、評価制度に組み込み、活用を志向していらっしゃいました。

非常によく検討された詳細な記述内容で、それ自体はとても素晴らしいものである反面、お悩みは「異なる職種間・同レイヤーに期待する成果や能力の基準が果たして揃っているのだろうか?どう揃えたら良いのだろうか?」というもの。

人事担当者なら直面する可能性が高い課題かもしれません。皆さんならどう考えますか?

世の中には、いわゆる職務評価(Job Evaluation)のメソッドは幾つか存在しており、名のある人事コンサルティングファームがサービス提供しているものや、研究機関などが公表しているものがあります。これらのサービスを購入したり活用したりすることによって、異なる職種間での職務や必要な能力レベルの違いを判断していくというアプローチはありえます。ただ、私自身も事業会社の人事担当者としてこの種のメソッドを活用して人事制度構築をした経験に照らして言えば、これらのメソッドは判断に一定の客観性・論拠を与えはするものの、やはりどこまで突き詰めても最終的には組織(経営者)の主観的な判断・重みづけによって決まる(判定結果が変わる)、元来そういう代物であるということを理解することが肝要です。

A社の例に戻ると、20種類の異なる職種について、何らかの基準を以って“真に”正確なレベル判定を行うことは不可能であるということです。やっている仕事が異なるわけですから、これを突き詰め、合わせ切ることは現実的には不可能であるということを割り切らなければなりません。まずはそのことを提言し、共通認識を持つことから行いました。

ただ、上述したとおり、職種ごとの「ジョブ・スキルマップ」自体は非常によく練られた良いものであるため、これを活用しない手はありません。

A社では各職種のジョブやスキルを通じて期待される組織における役割や成果を役割等級という形で包括的に言語化し、職種ごとの「ジョブ・スキルマップ」は役割等級定義を補完するものという位置づけに整理することにしました(細則しかなかったところに、本則を作ったようなイメージです)。

 

この事例を通じ、改めて感じたことがあります。

なぜ私たちは「基準の精緻化」に向かうのでしょうか? ~後編に続く

 

 

 

CHROFYは、今後も、人事・経営に役立つ情報を定期的に発信していきますので、どうぞお楽しみに。

何か「人的資本」や「人的資本経営」について、不明点やお悩みをお持ちの方は、ぜひ、お気軽にご相談ください。

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