著者:熊洞 温子
BREEZE株式会社 HRコンサルタント
こんにちは、熊洞です。
今回のブログは、「同一労働同一賃金への対応」がテーマです。
まだ、準備が進んでいない企業様もいらっしゃるようですので、まずは、取り組みの必要性があるのかないのかを認識していただきたいと思い、本ブログを執筆しました。
「同一労働同一賃金」の考え方やルールについては、「パートタイム・有期雇用者労働法」や各種指針等に定められています。
大企業に関しては、改正「パートタイム・有期雇用者労働法」が2020年4月から適用されていますが、中小企業には大企業から1年遅れの2021年4月から適用されるといった状況です。
パートタイムや有期雇用者がいる企業であれば、必ず自社の就業規程、賃金規程等を確認する必要があります
さて、皆様の会社には、この法改正は影響するのでしょうか?
パートタイムや有期雇用者が在籍しているならば、一度は、法令やガイドラインを確認し、自社のルール(就業規則や賃金規程等)が法令遵守しうるかを確認しなければなりません。
厚生労働省のホームページには、同一労働同一賃金の特設サイトがあります。
◆厚生労働省 同一労働同一賃金特集ページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html

当該サイトでは、ガイドライン、詳しいマニュアル(業種共通マニュアルで70ページ超!)、チェックツールなどが公開されています。
チェックツールは、回答に対して、是正の必要性やアドバイスが丁寧に説明されています。
余談ではありますが、マニュアルやツールなどを拝見すると、国の「働き方改革」への推進力を感じます。
一方で、こんなに素晴らしいマニュアルやチェックツールがあれば、社会保険労務士様や私たち人事コンサルタント企業への相談も減ってしまうじゃないか!とドキドキしてしまいます。
他社は順調に準備を進めているのだろうか?
話を戻しますが、やるべきことは、
「この特設サイトにある情報を見ながら、自社は大丈夫だろうかとチェックする」ことです。
「当社だけやっていない???」と不安になる企業様もいらっしゃるかもしれません。
ところが、実際は、多くの中小企業様が、「全然情報収集してないのですが」、「いつからでしたっけ?」「うちって関係あるんですか?」という状態だったりします。
企業様によっては、「何だっけ、それ?」という状態だったりもします。
というもの、ある一定従業員規模以上の企業様ですと人事の専任部門があり、そこには、労働法に詳しい人事担当者が在籍していますが、中小企業には人事の専任部門がなく、経理や総務等の他の業務も行いながら人事の業務を兼務されておられる場合も多く、そのような環境だと、法改正への対応が難しくなるのも仕方ありません。
とはいえ、法令を遵守しなければならないので、ご苦労が多いと思います。
確認や検討のためのプロセスは11ステップ、準備開始は遅くとも7月に
どのような手順で進めればいいのか?準備にはどの程度の時間を要しそうか?
人事専任のご担当者様が不在の企業様は、ご不安だと思います。
どのくらい時間を要するかをイメージしていただくために、ざっくりどんなプロセスを経るのかをまとめました。また、ギリギリ間に合わせる場合の時期の例も記載しました(早く準備にかかるに越したことはありません!)。

準備期間は、企業様のご状況によって異なりますが、仮に上記の表のとおりであるとするならば、準備開始は、「7月」ということになります。
まだ準備を開始していない企業様は、まずは、本件を誰が担当者するか、どのように進めるか、いつ実施するか、相談先を決めましょう。どう進めたらよいかがわからない場合は、まず相談相手を見つけられるとよいと思います。
気をつけなければならない点としては、社会保険労務士などの専門家に相談するための契約を締結する場合、必ずしもすぐに契約開始となるわけではないことです。
相談先によっては、「すぐには支援できない」「●月からなら対応可能」ということもあります。
誰が対応するのか、誰に相談すればよいのか

貴社に労働法に詳しい人がいなければ、外部の専門家を頼ることが、適正な対応につながります。労働法の解釈や決定事項に自信がないという企業様は、是非そうされてください。

財務への影響はあるのか

貴社がどのように規程に定めているか次第ですが、人件費増額につながる可能性はあります。
例えば、現状は、パートタイム労働者には通勤交通費を払っていなが、今後は通勤交通費を支払うことにすると決めた場合は、この通勤交通費の支給額が人件費の増額になります。
増額分を売上や利益を向上させることでカバーするのか、それとも、これまでかかっていた経費を削減するのかも、あわせて考えなければならないため、社内の関係者と連携し、経営者の判断を仰ぐ必要があります。
いかがでしたでしょうか。
同一労働同一賃金への対応が進んでいない企業様は、今からでもまだ間に合いますので、できるだけ早く検討に着手されることをお勧めします。
また、労働条件は、貴社の従業員様のモチベーションや採用活動にも影響しますので、必要に応じて外部の専門家の支援を受けながら、法令遵守を実現しつつ、貴社をとりまく環境に即したしくみやルールを構築されてください。