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モチベーション

報酬よりも「内発的動機付け」。人のモチベーションを高めるために【社長ブログ#02】


著者/滝本訓夫

BREEZE株式会社 代表取締役社長

 

ある種の有機体ともいえる会社が、生き生きと成長・進化するか、あるいは後退・退化していくか、それはもちろんトップ次第です。しかしトップだけでなく、全体の組織力を発揮せずして会社の持続的な成長もありえません。組織力を高めるため、組織を構成する一人ひとりのモチベーションを高めるため、会社ができることは何かを考察してみました。

 

一人ひとりが自律的に役割を果たす。会社の権限移譲について

会社設立から1年が経過した弊社。創業まもなく、まだまだ小さい会社故に、社長である私が諸々の意思決定を行い、主導しなくてはならないと思いながら働いていました。ところが、1人の社員が「もっとメンバーの裁量に任せてもいいのではないですか?」という声を上げてくれました。これは良い意味で「驚き」でした。創業まもないとはいえ、いや間もないからこそ、何もかも無い無い尽くしです。マーケティング戦力をはじめ、宣材やウェブサイト、開発力、アドミニストレーション、どれをとっても不足しているものばかりです。見るに見かねた社員からの一言は、実に的を射ていました。

 

すべての人が一日24時間の時間を与えられている、この点ですべての人は平等です。総員たった数名の弊社でも、業績の拡大に貢献できる役割をそれぞれに任せて、各々が自律して限られた時間の中で最大限の努力をするほうが、社長1人が限られた時間の中で全てを取り仕切るよりも成果が大きいことは言うまでもありません。ましてや数百人、数千人の組織で一人ひとりが社長の指示を待って働くとしたら、残念ながらそれでは組織力は高まらないと断言できます。

 

外から与えられる動機づけは内発的な動機づけに劣る

マウスやハトを用いて体系的な実験を行った結果、マウスやハトはあらかじめ用意された仕掛けを操作して、エサが出るよう「自発的に」行動するようになるそうです。これは20世紀前半までの行動主義心理学の基本的な理論であり、報酬や罰に応じて自発的に行動し、学習するという理論です。

 

しかしながら、その後1970年代以降に「内発的動機付け」(エドワード・L・デシ)が提唱され、創造性や責任感の観点からみると外からの動機付けは内発的動機付けに劣ること、むしろ「報酬はモチベーションを下げること」が実証されています。これは主に教育分野における理論のようですから、ビジネスに適用する場合は工夫が必要かと思いますが、いずれにせよ、理論の根本部分は分野を問わない普遍の法則に思えます。

 

給与や賞与、その他のインセンティブプランなど、どのような報酬制度にすれば社員のやる気に火をつけることができるのか?実に多くの会社が、この制度設計に頭を悩ませています。それはそれでとても大切なことですが、モチベーションの向上に働きかけるためには、報酬制度以上に何か重要な課題がありそうです。

 

仕事を楽しんでもらうための仕組み、創意工夫がモチベーションを高め、責任感の醸成にもつながる

内発的動機付け、言葉で言うのは簡単ですが、ではどうやって内面からやる気が湧くようにすればよいのか?簡単ではありませんよね。

 

ここで1つの考察として多くの会社が備えている「目標管理制度」に着目してみましょう。定量・定性両面の目標を当事者と上席者が共有して、その成果を業績評価や人事考課に活用する、というものです。自分自身もこの制度の下、何年もその運用を経験してきました。その自分の経験から反省することは、圧倒的に目標自体に偏重した運用をしてきたという点です。つまり、目標を実現するための「プロセス」に着眼した評価や面談ができていませんでした。「社員にもっと積極的に、能動的に動いてほしい」とはよく聞く悩みであり、かつて自分自身もそう思うことが多々ありました。しかし、目標にむかうプロセスに自由度を持たせて創意工夫を奨励し、仕事そのものを当事者が面白いと思えるような努力を怠っているにもかかわらず、積極的、能動的に仕事をしてほしいと求めることは酷なのではないでしょうか。

 

細々としたことまで指示をしたら指示待ち人間が増える、これは当然の結果なのです。モチベーションの向上というのは実に難しく、取り組み甲斐のある課題です。このテーマはBREEZEの使命でもあるので、今後も引き続き、取り上げてまいります。

 


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